Yell(エール)
2022年4月
いつもながら人前で話すのは苦手である。
先日、第7回日本アントレプレナー大賞の表彰式で、私はプレゼンターとして壇上で受賞者に対して、賞状や記念品を渡し、お祝いの言葉や受賞理由を述べた。
受賞者の表彰は5部門ある。
私はそのうちの1部門であるソーシャルビジネス部門を担当している。
他の4部門は
- マネジメント部門(日本M&Aセンター)
- サイエンス部門(堀場製作所)
- ヘルスケア部門(SBIホールディングス)
- エンタメ部門(ピーアーク)
である。
壇上では各部門のスポンサー企業の創業者や会長等が挨拶をする。
さすがに百戦錬磨の経営者は話が上手である。
そして私の出番がやってきた。
・・・・・
ここでの悲しい結果には触れないでおこう。
今回の受賞者は株式会社CAN EATである。
私と違って、CAN EAT田ケ原社長の受賞の言葉は軽快である。
私は「私の挨拶の分まで穴埋めしてくれて有り難う!」とホッとする。
CAN EATは食べ物アレルギーに困っている人と、アレルギーのある人に食べ物を提供するホテルやレストランを繋ぐサービスである。
同時に調味料のラベルからアレルギー成分を検証するシステムは、多くの飲食店が重宝している。
詳細はCAN EATのプレスリリースをご覧ください。
日本アントレプレナー大賞においてソーシャルビジネス部門の受賞者を選ぶポイントはいくつかある。
たとえば、
- 新しい発想で多くの人に社会的インパクトを与えることが出来るか
- ビジネスとして持続可能性があるか
が重要である。
しかし、応募段階で持続可能性が実現できている起業家はほとんどいない。
応募者の中には、既にソーシャルビジネスとして実績が出ている会社がある。
社会的なインパクトを与えながら、ビジネスとしても軌道に乗り始めている。
このような企業はすでに多くの支持者を得ていることから、「必ずしもソーシャルビジネス部門賞を通過点にしなくても良いのではないか。」という判断になる場合もある。
私は「出来ればこのコンテストの受賞を契機に羽ばたいてほしい。」と思える企業を推すことにしている。
受賞者には継続的に影響力のある経営者を紹介するといったサポートを行っている。
応募者が多数いる中で、ファイナリストに選ばれなかった人であっても、突然こちらから連絡を取らせていただき、何かお役に立てる動きを行うこともある。
そもそも人生とは、ご縁で成り立っている。
ソーシャルビジネス部門に応募してきた人とのご縁は大切にしていきたい。
応募者は今回選ばれなくても、次回も応募してきてほしい。
応募するタイミングが違えば、ビジネスモデルの説得力や実現可能性が見えてくることもある。
本年9月はICCサミット(京都)でソーシャルグット・カタパルトの審査員もさせていただく。
会期中は総勢1,000人ほどが参加する。
きっと会場でも多くの人と出会い、新しいご縁が生まれるだろう。
私は多くの起業家にエールを送りながら、彼らを素晴らしい経営者に繋ぐことを生きがいにしている。
そんな私は、ふと考える。
私が立ち上げた一般社団法人ソーシャルビジネスバンク(SBB)は本年1月1日生まれであり、まだ生後4か月である。
多くのエールが必要なのは、実は私なのではないだろうか。