多くの笑顔に出会える日

近くの福祉会館で、お祭りが開催された。

この福祉会館を運営しているのは公益財団法人であり、日本を代表する企業経営者が自己資金を拠出して作ったものである。

現在は、ご家族が理事長として運営しており、
障がい者や地域の人のために本気でお役に立ちたいと活動している。
理事長の熱い想いがスタッフ全員に通じているのか、皆さん、心が綺麗な人ばかりである。

今日のお祭りは3年ぶりであり、準備段階から、みなワクワクしている。

10か所以上の福祉作業所がそれぞれのブースを作り、障がい者がつくった商品を販売する。

屋外ではこの日のために消防車が展示され、子どもたちは興味津々に消防車に乗り込む。

他にもスーパーボールすくいや輪投げ、ストラックアウトを楽しむ。
しかも参加者は「うまい棒」がもらえる。

 

私の役割は、ボッチャ体験コーナーの案内係である。
ボッチャを多くの人に楽しんでもらうことを目的にボランティア活動をしている。

この会館をボッチャの発信地とすることが、この財団の想いでもある。

館内にボッチャのハーフコートを作り、多くの人にボッチャとはどのようなゲームかを体験してもらう。

ボッチャのルールを簡単に説明すると、赤チームと青チームに分かれて、
赤と青のボールを6個ずつ投げ、コート内の白ボールに近づけたチームが勝ちとなる。

 

このお祭りの開催にあたり、事前の告知が少なかったことから、
当初は来館者が少ないのではないかと心配した。しかし蓋を開けてみれば、多くの人が訪れた。

コロナ禍は、各地でお祭りが中止されていたので、
たくさんの人が久しぶりのお祭りを楽しみにしていたのだろう。

大きな多目的ホールでは、介助犬、聴導犬のデモンストレーションが行われた。
ホールに入りきらないほど多くの人が集まり、さぞかし犬たちも誇らしかったことだろう。

 

私はボッチャ体験コーナーで案内係をしていたが、ひっきりなしに体験者が訪れた。

体験コーナーの近くまで来た人たちは、健常者や障がい者、
大人や子ども達が楽しんでいる様子を見て、自分もしてみようと思ったことだろう。

受付では「すみません。お名前を書いていただいてから30分後ぐらいに順番がくるかと思います。」というような会話が交わされるほど盛況である。

ほとんどの人は、ボッチャをパラリンピックで見たことがあっても、自身がプレーするのは初めてである。

参加者はボールを投げて、「やった!」とか「あ~、惜しい!」とか盛り上がる。

ボッチャは、参加者全員が楽しめるスポーツであり、プレーの上手い下手は関係ない。
年齢、性別、障がいの有無に関わらず、みんなでワイワイ楽しむことに意義がある。

 

あっという間にボッチャ案内係の1日が終わった。
ふと思う。

今日は久しぶりにたくさんの笑顔に触れることができた。
コロナ禍やウクライナでの戦争など、世相が暗い中でたくさんの笑顔に出会えたことに新鮮味を感じる。久しぶりの感覚である。このような機会を持てたことに感謝の気持ちが湧いてくる。

「やっぱり笑顔っていいな!」

こんなシンプルなことを改めて実感する1日だった。