大学での講義を終えて

 

最近、社会人経験者が大学で教える傾向が増えている。
私も年齢を重ねるに従って、自分の経験値を若者に還元したいという想いが出てきた。

ただ、どっぷりと先生業に専念すると、ビジネスの最前線を忘れてしまうのではないかと危惧している。
あくまで自分が社会にインパクトを与える活動をしながら、大学生に旬の情報を伝えていきたいと思っている。

先日、関西学院大学でゲストスピーカーとして社会起業家についての授業を行った。
生徒数は約80名。学生に関心をもってもらう授業とはどんなものなのか?毎回、悩んでしまう。

社会起業家としての自身の話をするだけでなく、
これから社会人になる学生の参考になると思われる話もいれる。

例えば、

  1. 自分が学生時代に何を感じて就職活動をしたか
  2. 人生の分岐点をどんな気持ちで迎えたか
  3. 人とのご縁がいかに大切か
  4. 混沌とする時代の中で、何を大切にしていくか、など

100分の授業を私一人で行うのは、きっと聞く学生も疲れるだろうと、3人の若手社会起業家の事例を紹介する。そのうち2名は「関西学院大学の皆さま、こんにちは!」というスタートでメッセージ動画を作ってもらった。

もう1人は、野菜ビジネスをしているタベモノガタリ(株)のMs.竹下さんに実際に教室にきてもらい、講演してもらった。竹下さんは年齢的にも大学生に近く、自身の留学経験やインターンシップの話をして、学生からは身近に感じてもらうことができた。

そして、この授業は学生への課題を出す決まりがある。
担当の先生からは何でも良いと言われているため、私は以下の1~3を課題とした。

課題1.いま考えうる「自分に合っている生き方」とはどんなものか?
課題2.社会に良いインパクト与えている企業やNPOを2つ挙げて、その理由を教えて下さい
課題3.意見、感想、質問(任意)

実は昨年も今年と同様の質問を出した。
毎回、学生の考えを知るのは興味深い。

課題1.
いま考えうる「自分に合っている生き方」とはどんなものか?に対して学生は、①ワークライフバランスを重視したい②社会の為に働きたい③起業したい、など様々な回答がある。みんな真摯に自分に向き合ってその理由を含めて書いている。学生はこれから社会人となり多くの経験を積むことで、考え方や生き方は変わっていくが、現時点の自分に向き合ってもらいたいと思っている。

課題2.
社会に良いインパクトを与えている企業やNPOは?という問いで、圧倒的に多かったのは、「トヨタ」という答えである。やはりCMの影響が大きいのだろう。他にNTTドコモやユニクロ、スターバックスなどがちらほら出てくる。NPO業界では、子育て支援のフローレンスやホームレス支援のHomedoorなどが出てきた。

課題3.
意見、感想、質問(任意)の回答を読むと、学生が関心を持つポイントがそれぞれ異なっているのが興味深い。私の話した何気ない学生時代のサークル活動の話に関心を示す学生もいれば、若手の社会起業家のメッセージに共感したり、私が大切にしているキーワードの一つである“計算しない行動力”を取り上げる学生もいた。

 

学生はみんな真面目である。ついつい感心してしまう。
自分が当時、これだけ物事を考えていたかというと甚だ疑問である。

混沌とした閉塞感のある時代を生きている若者であるがゆえに、私の学生時代よりも思慮深くなっているのかもしれない。多くの情報に接し、多くの生き方の選択肢があるのは素晴らしいことであるが、選択肢が多すぎるゆえに失敗しないように慎重に生きていかないといけない、と感じているのではないか。

何人かの学生は、「これからもっと積極的に行動したい」とか「ゲストスピーカーの方ように様々な経験を積みたい」というフレーズが見られたのは嬉しかった。

彼らの父親ほどの年齢である私が、現在進行形として「失敗してもいいからとりあえず前に進む」とか「相手の年齢に関わらず自分から連絡をとって会いに行く」とか「ご縁を大切にして、どんどん出会いを楽しむ」とい生き方をしていることを話した。

 

さて、現在の私自身に課題1.いま考えうる「自分に合っている生き方」とはどんなものか?という問いを出されたら何と答えるだろうか。

簡潔に書くなら、「社会をより良くしたい人との出会いを求めて動き回る。」となるだろう。

10年後、多くの経験を重ねて、私は学生に「役に立つ面白い話」ができるだろうか?
出来るかどうかは、自分次第である。

運、出会い、タイミングは、自らの日々の研鑽の結果としてもたらされる。
10年後の講義に向けて、今からプレッシャーを感じている。

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ムハマド・ユヌス様

グラミン銀行創設者
ノーベル平和賞受賞者

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第二電電(現KDDI)、イーモバイル(現ワイモバイル)創業者、レノバ名誉会長
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東 信吾
Azuma Shingo

一般社団法人ソーシャルビジネスバンク
代表理事

 

【経歴】
1974年生まれ
大阪大学経済学部卒、大和銀行(現りそな銀行)、シティバンク、日本不動産研究所、UBS、クレディ・スイス(西日本地域の営業責任者)

社会活動家/プライベートバンカー/不動産鑑定士

大学生の頃よりプライベートバンカーを志向する。
UBSアジアパシフィック地域において7年連続「ドラゴンクラブ」を受賞(日本人初)。
2015年、世界のトップバンカーの一人として「UBSサークルオブエクセレンス」を受賞
(唯一の日本人プライベートバンカー)。

2008年よりNPOのスタッフとして、タイ、ラオス、ミャンマー、カンボジアにおける社会貢献活動に参画。

2012年よりバングラデシュにて、グラミン銀行創設者でノーベル平和賞受賞者であるムハマド・ユヌス博士と自動車整備士養成プロジェクトを運営。

日本アントレプレナー大賞ソーシャルビジネス部門を創設(審査責任者)。
ソーシャルビジネスの普及活動に専念。


2022年より社会に「温かいお金」と「想い」を循環させることを目的に、一般社団法人ソーシャルビジネスバンクをスタート。日本で初めて金融商品仲介業を株式会社でなく、一般社団法人にて運営(組織形態及び定款は非営利徹底型)。


この法人では、

  1. 富裕層や企業オーナーを社会貢献活動の世界に導く
  2. 富裕層や企業の社会貢献活動をお手伝いする
  3. 金融商品仲介業務で得た法人利益から法人税納税後の内部留保の半分以上を、顧客の希望に即した社会貢献活動に充当する
自身は上記3事業を無報酬(ボランティア)で行っている。


(公財)東京コミュニティー財団理事
(公財)千本財団理事
(一社)明日へのチカラ理事 ほか

世界4大会計事務所のひとつであるEYグループの日本法人(EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社)シニアフェロー

 

東信吾/azumashingo