関西ベンチャー学会「年次総会」にて思うこと
2022年2月
先日、関西ベンチャー学会の年次総会にパネラーとして出席しました。
今回のお題は「ソーシャル」×「女性」です。
ZOOM を含めて、100名ほどが参加する会となりました。
学会というだけあって、大学の先生が多いです。私には場違いです。
大学生、高校生も参加し、日頃の疑問をパネラーにぶつけていました。
若い世代が「ソーシャル」に関心を持つことは嬉しいです。
ソーシャルビジネスに関心の高い学生も多くいます。
彼らは大学卒業後、社会に出てから、多くを学びます。現実も知ります。
例えば・・・
「ソーシャルGoodなことをしたくて、この会社を選んだのに、何もさせてもらえない。」
「採用時点で言っていることと、現実が違う。」
みたいなことはよくあります。
採用ページに書いてある企業の美辞麗句は6掛けぐらいで読むのが丁度よいでしょう。
2つの側面から見てみましょう。
現経営陣:
利益が上がらなければ、そもそもソーシャルGoodなことなどできない。
若い世代:
ソーシャルGoodなことをしながら、利益を上げるべきだ。
これからの時代は、若い世代の考え方が主流になるでしょう。
ソーシャルGoodなことを本業に組み込んでいくことで、他社との比較優位性が生まれます。
社会的に良いことをせずに収益だけを求める企業は、これからの時代、生き残るのがしんどくなる一方です。
さらに情報が溢れている世の中において、企業は成果物(製品・サービス)の良し悪しだけで勝負しようとせず、成果物が生まれるまでの過程を開示することで、多くの支援者を集めていくことが大切になります。
現経営陣:
そんなことできたら苦労ないわ。
はい、その通りです。差別化とは難しいものですが、それを考えるのが経営です。
今まで業界で取り組んでいないソーシャルGoodなことを考えて、本業に組み込もうと模索している会社は“伸びしろ”があります。
若い世代は社会に出て、目の前の与えられた仕事だけをこなす時期もあるでしょう。
ただ、ここで大事にしたいのは、所属する会社の価値観だけに染まるのではなく、別の業界や年齢が違う人と話をして、価値観の多様性を実感する事です。
ビジネスモデルや経営戦略という側面をみても、その人独自の価値観が表れています。
最初は与えられた仕事であっても、時間が経てば自分に出来ることが増えてきて、本当にやりたい事が見えてきます。
私の場合、会社を辞めて独立したのは46歳です。
独立が10年前だと今と同じ気持ちで仕事ができたか?と問われると、それはNoです。
私の場合、もし若い年齢で独立していたなら、自分の立てたミッションを重視するよりも、事業を成長させることに集中していたでしょう。結局ミッションが置き去りになっていたと思います。
気持ちが熟成する時間は人それぞれ異なります。
シリコンバレーでは、スタートアップ企業のうち、その業界で特に成長率が高い企業の経営者の平均年齢が45歳である、とどこかの記事で読んだ記憶があります。
一般的に若者の方が元気であり、考え方も柔軟で、人からサポートしてもらいやすい傾向がありますが、多くを経験し、人脈ができてからスタートする方が、成功確率が上がるのは当然といえます。
若い世代へのお願いは、一つの価値観にとらわれずに、多くの価値観を吸収しながら、焦ることなく人生の選択肢を選んでもらいたい、ということです。