ICCサミットと審査員について
2022年9月
前向きな人が集まる空間は素晴らしい。
京都でICCサミットが3日間開催された。参加人数は1,000人以上である。
参加者の多くはベンチャー企業やベンチャーキャピタル(VC)、上場した勢いのある会社、NPO、財団等と多彩である。イベントを貫く一貫した理念は「ともに学び、ともに産業を創る」Industry Co-Creationであり、会場では多くのインスピレーションが掛け合わされている。
最終日、私はソーシャルグッドな企業や団体のプレゼン大会であるソーシャルグッドカタパルトの審査員として参加した。審査員の顔ぶれは素晴らしく、自分が同じ立場で参加していることに違和感を感じる。
スピーカー12名は各自7分間で「自分はこのようにして社会を変えたい!」とプレゼンをする。
私はプレゼンを聞きながら、多様な社会問題に直面し、時に驚き、時に涙腺が緩む。
今回の優勝者は株式会社小高ワーカーズベースの和田社長であった。
和田社長は福島の原発事故の避難指示地区を盛り上げるために、2014年にコワーキングスペース「小高ワーカーズベース」を開業した。当初は、「住民がいないから商売が成り立たないだろう」と反対されていたが、「仕事がないと住民が戻ってこない」という考えのもと自身が音頭を取った。
最初に新しい事に取り組む人は、多くの人と見ている景色が違う。
和田社長は、出来上がった既存の町ではなく、何もない場所(フロンティア)で事業を開拓していくことにやりがいを感じている。その想いに共感した若者が集まり、それぞれが事業を始める。
和田社長が提唱する「地域の100の課題から100の事業を創出する」という理念をぜひ実現してほしいと願っている。
審査員をするといつも緊張する。プレゼンに対するコメントを求められるからである。
プレゼンの間はいつもメモっている。急に意見を求められる時のための準備だ。
私の性格は「人が好き、性善説、楽観的」であるが、人前で話すのが昔から苦手である。
多くの人は自分の意見を上手に話す。
私は大勢の前で意見を求められると、頭が真っ白になる。
そして気の利いたことが言えない。後で悔しい想いをする。
過去の自分を考えると、大勢の人の前で話をする仕事でなかったことは幸運である。
無理せずこのままのスタンスでいこう。
今月はあと2回、関西で開催されるベンチャー企業のプレゼン会に参加する予定である。
なぜか審査員として誘われる。みんな私が暇なのをよく知っている。
プレゼンを見ると「みんな若いのに立派だな~。自分には出来ません。」という言葉がいつも最初に出てくる。しかし、こんなコメントだけでは乗り切れない。
次回も必死にメモを取り続けなければならない。
その都度「もう今回で審査員はやめておこう。」と心の中で誓うのである。