心地よい自分を探すお手伝い
2022年5月
舞台は焼鳥屋
人生の先輩
O社長(損害保険業界のパイオニア)
人生の先輩
A会長(上場企業創業者)
・・・
皆で食事とお酒を楽しんでいる。
O社長はA会長に話しかけた。
O社長
うちの会社で新しい金融商品を作り、販売がスタートしました。
売り上げの一部を寄付します。寄付先については東さんにアドバイスをしてもらいます。
東
お声がけいただき光栄です。O社長は想像力が豊かです。
今回の新しい商品も先進的ですし、とても面白いです。
O社長
今まで社会貢献活動をしたいと思いながら、あまり実践できていなかったです。
東さんに出会ってから気持ちが変わっていきました。
しかも仕事を通して社会の役に立てるのはモチベーションが上がります。
東
無理せず自分にあった形で、社会の役に立てるのが一番です。
A会長
私は企業を立ち上げた時から社会に貢献したいという想いで走っています。
しかし寄付というと、寄付したお金がどこに使われているかが分からないため躊躇しますね。
東
確かに大きな団体でも、経費率が50%以上、つまり寄付した金額の半分以下しか困難を抱えている人に回っていないところもあります。
そして、寄付したお金がどこに使われているかが分からずに、寄付者には実感がないことも多いです。
O社長
だから東さんがいるんです。寄付先を決める裁判官として。
A会長
裁判官ですか。なるほど、それです!裁判官を求めているんです。
どこに寄付したら良いかを一緒に考えてくれる人のニーズはたくさんありますよ。
東
単に寄付するのもいいですが、自分で社会貢献活動を創造していくことも面白いです。
寄付の場合、自分が納得いく活動に出会うまで、多くの気づきを繰り返しながら、最良な関わり方を探していけばいいかと思います。
そのために早くから第一歩を踏み出すことは重要ですね。
O社長
東さんはやや変わっていますが、真面目な一面があるんです。
東
むむっ? 一言多いようですが、有り難うございます。
・・・
ふと考える。
A会長が感じる寄付への抵抗感は、多くの人が同じように感じている抵抗感である。
皆さん忙しいので、自分にしっくりくる寄付先を探す時間がない。
そこで寄付者の想いを叶えてくれるO社長のいう「裁判官」の役割が必要になる。
世の中には多くのNPOが存在する。
クラウドファンディングを作る会社もある。
それぞれの会社のHPには社会にインパクトを与える素晴らしい活動が紹介されている。
多くの人は、自ら興味ある活動を探して寄付をする。
しかし富裕層や企業の経営者(以下、富裕層の人たち、という)が自らNPOやクラウドファンディングのHPを見に行くだろうか?
いくら良い活動をしていても、富裕層の人たちに情報を届けることは難しい。
そのために私がいる。
私がお付き合いしている多くの富裕層の人たちに直接情報を届ける。
一般的に富裕層は外(他人)から見ると幸せそうに見える。
しかしいくらお金をもっていても幸せでない人はたくさんいる。
プライベートバンカーとして多くのファミリーを見てきたが、私見としてそのうちの3分の1は、お金があることがかえって幸せの要素を無くしているのでは?と感じる。
そのような富裕層の人たちに社会貢献活動に参加してもらう。
初めは半信半疑で参加する。
そして実際に困難を抱えた人たちの状況を知ったり、社会問題を解決しようと真摯に取り組んでいる人やNPOの活動をサポートすることで、少しずつ充足感を感じるようになる。
つまり、人生において幸せを感じることができる要素が一つ増えるのだ。
私自身、NPOのスタッフとして2008年から東南アジアに行って活動していたが、自分の活動に腹落ちしたのは5年以上経ってからである。
当時ミャンマーからタイに難民として入り、大学を目指していた学生を支援していた。
無事にタイの大学を卒業した後、一般企業に就職せずに、難民のための学校に戻って教えている姿を見たときに衝撃を覚えた。
「支援が循環している」と。
私の役割は、まだこのような気持ちを経験したことがない富裕層の人たちに、その道筋を提案していくことである。
既成のNPO活動では満足できない人には、一緒に新しいプロジェクトを作る提案もする。
結果として、社会に善意と資金が循環する。
私の幸せは、人を通してこの循環が生まれるのを見ることである。