海外の学生から選ばれる国へ
2022年7月
先日、若手起業家と2人で食事に行った。
彼は現在30歳で、私はここ3年間、彼の相談相手になっている。
彼は日本の学生と海外の学生をオンラインで繋ぎ、英語で社会問題を話すという授業を中学校・高校に提供している。現在世界54か国と繋がっている。
今年は青森県や徳島県など5つの県からの要請で公立の中学校及び高校にも導入が決まった。
今回、台湾の中学校や高校と連携したいという声があるらしい。
全くツテがないと悩んでいた。
その場で私は友人の台湾人に電話をしてみた。
すると友人は台湾弁事処(領事館)の文化教育課課長を紹介してくれるという。
翌日、私は台湾弁事処に電話をかけて、若手起業家の取り組みの話をした。
台湾弁事処としても自国の中高生の教育に寄与することであり、協力したいと申し出てくれた。
これにより現地の1100校とつながる道筋が見えた。
話はコロナ前に遡る。
私は関西で勉強する台湾人留学生の忘年会に参加した。
関西の国公立大学、私立大学、日本語学校など、多くの台湾留学生が関西で学んでいる。
忘年会に毎年200人ほど集まる。私は3年連続、この会に参加した。
日頃から私はビジネスで台湾とは全く関係を持たない。現地に数人の友人がいる程度である。
忘年会に参加するとき、いつも留学生にビンゴゲームの景品を持っていく。
数千円の図書券を5人ほど用意する。ビンゴゲームで当選した留学生は大喜びする。
3回目に参加した忘年会で、関西に長く住む在日台湾人と以下のような会話があった。
在日台湾人
「あなたは毎回景品を持ってきてくれますが、台湾人ですか?
それとも、昔に台湾に留学したことがあるのですか?」
東
「いいえ、全く台湾との関りはないです。
いつも景品を持参して、参加させてもらっています。とても楽しい会です。」
在日台湾人
「ここに来ている日本人は台湾と何かしらビジネスをしています。台湾と全く関係ない日本人が台湾人留学生のために景品を持ってきてくれて、本当に有り難うございます。」
私は驚いた。
在日台湾人の彼からすると同郷の若者をサポートしてくれる日本人を有り難いと思ったようである。
しかし私は彼とは違う景色を見ていた。
東
「とんでもないです。優秀な学生が日本を選んでくれるのは、とても有り難いです。
こちらが感謝したいぐらいです。」
偽らざる本心である。
外国人留学生にとって、日本は決して優しい国ではない。
古い体質の日本人は、外国人に対する考え方や就労環境など、多くの点で未だに国際標準からかけ離れている。
それゆえ、私は日本に来ている外国人留学生に少しでも良い思い出を作ってもらいたいと思っている。
世界における日本の地位低下が顕在化しているなかで、これからも日本が海外の学生から選ばれる国になってほしいと思う。そのためには、海外の若者に日本の良い点を若い時期から知ってもらいたい。
ここで前述の若手起業家に話を戻そう。
私の想いからすると、彼の役割は重要である。
彼の提供するオンライン授業により、日本の学生と海外の学生が繋がり、若いうちからお互いが親近感を持つようになる。海外の学生に日本の良さを知ってもらうことが出来る。
少し極端ではあるが、海外に日本のファンをたくさん作ることが、日本の安全保障に寄与するかもしれない。
少なくとも、旅行先の一つとして日本を選んで、日本でのお買い物や飲食及び宿泊など、日本経済に寄与してくれるだろう。
若手起業家と私の見ている景色は違う。
日本の学生が海外の学生と会話することによって、
日本の学生に多くの経験をさせてあげたいという若手起業家の想い。
彼が提供するオンライン授業によって、
海外の学生が日本のファンになることを望んでいる私の想い。
彼が頑張り、私がサポートすることで、どちらの想いも満たせることがとても嬉しい。