清荒神駅から始まる有意義な時間
2022年4月
桜が満開の中、清荒神清澄寺をお参りした。
清荒神清澄寺は平安時代の初め、近隣諸国と友好を深め戦争のない平和な社会や全ての人が豊かに暮らすことを祈願して作られたお寺である。
このお寺に毎年お参りに行こうと思いながら、今年は3年ぶりの訪問になってしまった。
かつて仕事で行き詰ったとき、たまたまこのお寺を参拝した後に良いことが起こったことから、このお寺を自分にとって縁起の良いお寺と勝手に決めている。また、このお寺に向かう参道も気に入っている。
清荒神駅を降りて山の上のお寺まで約1キロ。参道にはお土産屋やカフェがたくさんある。
今回、平日の午前中に参拝に来た理由は、人生の先輩に会うためである。
公認会計士である人生の先輩は清荒神駅近くに自宅があり、訪問させていただいた。
人生の先輩は日本4大会計事務所のパートナーという名誉ある職を辞して、農業を始めた人をサポートしている。
先輩自身も農業の勉強をしながら、就農者に対して会計士の見地から最適な事業計画や設備投資等のアドバイスをしている。農業従事者にとって、心強い味方である。
先輩と1時間ほどの会話を楽しんだ後、私はお寺に向かって歩き出した。
参道の桜を見ながら、ゆっくりと坂道を上る。
天気もよく、上着を脱いでも心地がいい。
平日ということもあり参拝客は少なく、ゆっくりとお堂を参拝した。
ここで手を合わせてお願いすることは“世界平和”である。
昔から、お寺や神社でお参りするときは“世界平和”のお願い事が自然と浮かび上がる。
今年は特にその想いが強く出てくる。
静かな山の中で心穏やかに手を合わせる。
この状況がどれほど幸せな事かを実感する。
そして自然と感謝の気持ちが湧いてくる。
こみ上げる感情に涙腺が緩む。
若い時はこんなに感傷的になることなど無かったのに、と自らの変化に気がつく。
駅へと下る参道で、お土産を買い、コーヒーを飲んだ。
ゆったりとした時間である。
穏やかな春の時間を過ごし、なんだか心がリセットされていることに気づく。
私は駅のホームに立ちながら、阪急電車がこちらに近づいてくる様子を眺めていた。
踏切の音がいつもより優しく聞こえるのは気のせいだろうか。