みんなのバス
2022年1月
1月上旬、人生の先輩を訪問させて頂きました。
人生の先輩は神戸に本社があるカーディーラーの社長です。兵庫県下に50店舗ほど展開しています。先輩のお客様を大切に思う気持ちが企業風土となっています。
お陰で私のお気に入りのMAZDA2(旧名称:デミオ)は、かれこれ4代目となりました。
私はクレディ・スイスに勤務している時代から、バングラデシュでの自動車整備士養成プロジェクトについて先輩に話をしてきました。
私が所属するNPO法人は、グラミン銀行創設者でノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士と一緒に自動車整備学校を運営しています。
グラミン銀行からお金を借りている家庭の子息を預かり、日本人技術者から日本式の自動車整備技術を教えることで、彼らが現地で就職し、自活する手伝いを行ってきました。
卒業生を3回ほど現地企業に送り出したところで、コロナが拡大したため、休校となりました。休校中に卒業生や在学生の話を聞くと、彼らは日本で働きたいと言います。
そうであれば、彼らを技能実習生として日本で迎え入れる方向に転換したい。これまでの英語教育を変更し、今後は日本語教育に転換しました。
ムハマド・ユヌス博士も、卒業生が日本で技能実習生として働くことには大賛成だったので、昨年10月の学校再開と同時に学校の運営方針を転換しました。
日本で技能実習生を受け入れるにあたり、志の高い監理団体である公益財団法人国際人材普及振興協会(APSIP)の協力を得ました。私自身もカーディーラー等の受入れ先企業を回って、技能実習生の採用をお願いしています。
人生の先輩は、自社の車を販売するだけでなく「みんなのバス」というコミュニティバスを運営しています。
交通手段がない地域にバスを走らせ、区役所、病院、図書館等を繋ぎます。地域の人にとっては、なんと便利なことでしょう。これを先輩の会社は社会貢献活動の一環で行っています。
また数年前より先輩の会社は外国人を自動車整備士として採用しています。外国人は面談時に「数年働いたら母国に戻り、独立したい!」と、はっきり言います。多くの企業は将来辞めてしまうことが分かっている外国人を採用しないでしょう。
しかし先輩は「それが世界の自動車業界の発展に繋がる。」と言います。私は感銘を受けて「是非とも御社でバングラデシュの若者を採用してほしい。」とお願いしました。先輩は「次回のミーティングでは、人事担当者を呼ぶので、詳しく話を聞きたい。」と言ってくれました。
先輩の会社が運営する「みんなのバス」。
地域の人に愛されるバスになってほしい。
そして先輩はもう一つ別のバスも用意しています。
この会社に採用される外国人は「世界の自動車業界の発展に寄与したい」という先輩の想いを持って母国に戻ります。彼らは母国できっと自分の夢を叶えるでしょう。
先輩の想い、それは多くの外国人の夢を乗せたバスです。
彼らを希望ある未来へと導きます。