事業成功に向けて走り続ける ~ムハマド・ユヌス氏とのプロジェクト~
2026年5月

2024年8月、バングラデシュで学生主導の反政府デモが勃発し、当時のハシナ首相が国外に逃亡した。代わって国民から信頼の厚いムハマド・ユヌス氏が暫定政権のトップ(首席顧問)となった。
ムハマド・ユヌス氏は貧しい人を救うために、1983年にグラミン銀行を創設し、マイクロファイナンスという少額の無担保融資制度を世界中に広め、2006年にノーベル平和賞を受賞した。今年2月の総選挙までバングラデシュ暫定政権の代表を務め、今は自身の希望によりグラミン銀行のトップに戻った。
昨年5月にユヌス氏は政府の代表として来日した際、当時の石破首相との間で、ある覚書が締結された。それは日本国内で人材が不足する分野に、バングラデシュ人材の雇用を推進する内容である。その規模は10万人を目標としている。
なんと、この実働部隊として、私が理事を務める一般社団法人Japan Action Tank(以下、JATという)が担うことになった。この10年間、現地の貧しい家庭で育った若者たちに日本で自動車整備士として働く道筋を作ってきたが、今回の10万人の受入れは途方もない数字であり、JATが全業種をカバーできないので、日本での人材不足が社会問題となっている介護人材に焦点をあてることにした。
このプロジェクトは、バングラデシュの国立看護学校の卒業生に日本語教育と日本式の介護教育を行い、日本の介護施設で介護人材(特定技能)として働く機会を提供するものである。このプロジェクトが大切にしているのは、日本に来るバングラデシュの若者たちに借金を負わせないことである。

Grameen Caledonian College of Nursing
一般的に技能実習生や特定技能といった制度で日本にくる外国人は、斡旋料として多額のお金を支払っているケースがある。バングラデシュ国内でも人材を斡旋する企業や団体のほとんどは、単なる人材ビジネスとして多額の仲介手数料を徴収している。
私たちは、現地の若者に借金を負わせないようにするために、彼らが受講する日本語教育や介護教育に対する授業料を、将来雇用してくれる日本の介護施設から頂戴する仕組みを採用している。そのためには、いかにコストを抑えられるかがポイントとなり、私たちは無給で活動しながら、企業訪問を行っている。この活動は、私のライフワークのひとつである。
現地で日本語の授業を提供する「志(こころざし)」岡林社長、介護教育を提供してくれる名古屋の「ジェネラス」小山社長、学習の進捗管理を行う「e-Education」の三輪代表は、このプロジェクトに賛同し、最低コストで対応してくれている。とても想いの深い人たちである。
私自身はこの仕組みの制度設計や日本の介護施設の開拓を進めている。訪問したある介護施設の社長からは「外国人の採用にお金はかけれない。安ければ安いに越したことはない。」と言われることもある。私たちは現地で看護師の資格をもつ医療意識の高い人材に対して、日本で介護人材として働いてもらうことを前提としているが、金額だけを採用基準にしている介護施設もある。一方で、この取り組みの趣旨や私たちの想いに賛同してくれる介護施設もある。
「捨てる神あれば、拾う神あり」と日々感謝しながら、介護施設を訪問している。もう現地での人材育成はスタートしている。走り続けないといけない。
以上
今年3月末に来日したムハマド・ユヌス氏とミーティングを行い、このプロジェクトの内容を雑誌PAVONEに掲載しました。
https://www.pavone-style.com/social-contribution-activities
ムハマド・ユヌス氏からのメッセージ動画
https://sbb.or.jp/japan-action-tank-2026/

