新しい人生のスタート
2023年10月
11人の若者たちが自動車整備士として働くために、バングラデシュからやってきた。
私の所属するNPOはグラミン銀行創設者でノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏とバングラデシュで自動車整備士を養成する学校を運営している。日本の篤志家が学校運営の資金を出してくれている。
彼らはバングラデシュでも特に貧しい家庭で育った若者であるが、学校の成績は優秀であり、心根も素晴らしい。
私たちが運営する学校に入学するために、毎年バングラデシュ全土から多数の応募がある。
その中で10人ほどが選ばれ、1年間、みっちりと自動車整備技術と日本語が教えられる。
彼らは学校が終わってからも、夜遅くまで日本語の勉強をしている。とにかくモチベーションが高い。
日本に入ってくる時には、現地の日本人教師から日本の礼儀作法、日本人の考え方などを学んでいる。
(日本での銀行口座の開設手続き)
技能実習生制度に則って、来日した彼らには、雇用主が賃貸住宅や寝具、調理器具などを準備してくれる。それでも、全ての備品が揃っている訳ではないので、私は彼らと一緒に買い物に行く。
「明日からお弁当だからお弁当箱がいるね。自炊用の食材も買っておこう。お米、玉ねぎ、ジャガイモ、鶏肉、にんにく、生姜など必要なものを買っておこう。そう言えば、ゴミを捨てるときは自治体指定のごみ袋だったね。」
このような感じで、近所のスーパーや100円ショップを巡り歩く。
彼らは皆、感謝の言葉を口にする。
「先生、有り難うございます。日本に来られたのも先生がたのおかげです。一生懸命頑張ります。家族を楽にしてあげたいです。」
なぜか私まで先生と呼ばれている。彼らの言葉を聞いて、私は涙が出そうになる。
私たちの日々の活動が、彼らの人生を変えていることを実感すると同時に、彼らのこれからの成長を見守れることを幸せに思う。
(大好きな焼肉。宗教上、豚肉は食べない。)
彼らは日本全土の自動車ディーラーに採用されていく。
雇用主も優秀な技能実習生を重宝してくれる。職場の先輩方も可愛がってくれる。
私は彼らが年月を重ねて立派な自動車整備士に育ってくれることを願っている。
これからも私はバングラデシュの若者の未来を一緒に考えてくれる会社を訪問し、彼らの採用をお願いして回ろう。彼らの頑張りを思えば、私も頑張らないといけない。