浄化と創造のCoffee Time
2022年10月
ガタンゴトン、ガタンゴトン。
窓越しに阪急電車が通り過ぎる。
私は本の世界から現実に引き戻された。
今まで何度となく電車が目の前を走っていたが、全く気にならなかった。
ここは「かささぎ」という自宅から徒歩で通えるカフェ。
数か月前、散歩している時にたまたま看板を見かけた。それ以降、何度となく訪れている。
このお店にはルールがある。
お客さんは一人で静かに過ごすこと。
通常のカフェでは許される友達や恋人同士のお喋りはダメである。
マスターは60歳で会社を定年退職した後、今年から自分が理想とするカフェをオープンした。
お店の「かささぎ」という名前は、マスターが好きな印象派の画家であるクロードモネが描いた雪の風景画から名付けられた。
マスターの趣味で本棚には沢山の本が並べられている。
お店にお客さんが居ないとき、私はマスターに話しかける。
マスターは静かな語り口調で、本の解説やお店の想いを語ってくれる。
ついでに、お勧めの本を教えてもらう。
ここでは、各々が大切な自分の時間を過ごす。
〇 静かに本を読む
〇 考えごとをする
〇 ぼーっとする
私はマスターのお勧めの本を手に取り、新しい世界や今までに感じたことがない価値観と出会う。
私にとってこのお店は、仕事に追われて処理しきれない日常を浄化する場所であると同時に、新しい発想や展開が生まれる場所である。いつも、あっという間に時間が過ぎる。
さて、そろそろ帰ることにしよう。