資産運用以外のお手伝いでお客様に幸せを届けたい
2024年9月
日頃から多くの富裕層と会話をしていると、動物保護活動に関心を持っている人がたくさんいることに気が付く。見た目が気難しくて、強面(こわもて)の創業会長が「自分は動物保護活動をしたい」と話したときは、そのギャップに心が“ほっこり”した。動物愛護と一口にいっても、犬や猫やウサギなど動物の種類や保護活動の内容は異なる。
私は公益財団法人東京コミュニティー財団の理事をしている。この財団の中に、個人や法人が資金を拠出して、社会を良くする団体に助成を行う「冠(かんむり)基金」を設立することができる。冠基金は自身の「社会を良くしたい想い」を形にするための器である。
一般的に自分で財団法人や社団法人を作って寄付活動を行う場合、理事や評議員など人数を集め、さらに事務局を作って運営する必要がある。ところが冠基金で寄付活動を行うことで、東京コミュニティー財団が面倒な事務局の役割を代行してくれる。とても便利である。しかも寄付者は東京コミュニティー財団という公益財団法人に寄付をして冠基金を作るため、寄付金控除の対象となる。
最近、立ち上げた基金の中に「補助犬おつかれさま基金」がある。大阪に住む心優しい女性が「人間のために頑張って働いてきた盲導犬や介助犬などの余生を資金的にサポートしたい。安心して老後を過ごしてほしい。」という想いを実現するために設立した。
この女性を東京コミュニティー財団に紹介してくれたのは、大和証券である。大和証券はお客様の社会貢献活動をお手伝いすることが営業マンの目標の一つになっている。社会的価値創造に注力している。とても素晴らしい取り組みである。金融機関が資産運用以外で、「お客様の幸せを実現するお手伝い」をすることで、お客様は金融機関や担当者に感謝し、ファンになる。私が窓口になり、この女性の対応をしている。
私は、あくまで東京コミュニティー財団の理事として、大和証券のお客様と面談している。寄付者に対して、私は「大和証券の担当者である○○さんは、資産運用以外のお手伝いをすることで、お客様に幸せになってほしいと願っています。」と第三者の立場から意見を伝える。この言葉は、私が長くプライベートバンカーをしてきて、“最も嬉しい言葉”の一つである。
資産運用を通してお客様に寄り添う多くの金融マンが、資産運用以外のお手伝いをすることで、お客様の人生をより良いものにしてほしい。私がいつも願っていることである。